MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

ルーム・アコースティックのセミナー

 

 

 先週の土曜日(9月21日)、京急蒲田駅近くの大田区産業プラザで「プロオーディオ分野に必要な室内音響学を学ぶ」と題してセミナーが開催されたので参加して来ました。

https://jtesori.com/JTSW/course_RA.html

当日の講師は以前、TOABOSEの開発にいたエンジニアとのことで、両社の開発における裏話なども聴くことができました。 

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講義は下記の内容で、合計5時間のセミナーでした。 

 1. 音波の性質
 2. 音圧レベルと音響パワーレベル
 3. 人の聴こえの性質
 4. 吸音、反射、散乱
 5. 拡散音場と残響
 6. 室内音響の主観評価
 7. ルームインパルス応答
 8. 音声明瞭度

 

 当日の参加者は、スタジオ・エンジニアや音楽ホールの設計やメンテナンス担当者など、仕事として来ている現役のプロばかりで、「趣味でオーディオをやっている」などという不届き者は私一人だけ。 

講師が「今日のセミナーは、先月行われた3日間の基礎クラスを済ませた人向けの内容です」など と言うので、「3日間の基礎クラスなど知らなかった」とも言えず、もしレベルの高過ぎる内容で理解できなかったら、居眠りだけはしない様に気をつけよう、と覚悟しました。

 

 しかし講義を聞いていると、確かに専門性の高い内容ではあるけれど、決して自分が理解できない内容ではなく、むしろ新しい知識と自分の知らなかった現場の情報が得られ、出席者からの質問もさすがにプロの技術者ならではのピン・ポイントな内容でした。

ただ、この日のセミナーは「ルーム・アコースティック」ではありましたが、「大きな空間」がメインテーマでした。(大きな空間とは:ホール、PA会場、競技場)

私が受講したかったのは「小さな空間」の音響理論で、これに関してはセミナーはどこも開催していないとのことでした。(小さな空間とは:小スタジオ、ミキシング・ルーム、リスニング・ルーム)  

 

音響理論は、下記の様に大別されるそうです。

(1)小さな空間:波動音響理論(波動方程式、共振、モード、定在波)

(2)大きな空間:統計音響理論、幾何音響理論(音線法、鏡像法)

 

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 統計音響理論に関しては「どちらかというと以前の、という枕詞が付きますが、依然としてベーシックな、スタンダードな理論として使われています」とのこと。

 幾何音響理論の「音線法」は初めて説明を聞きましたが、点音源から限られたエリア(リスニング・ポイント)に向かって「数万本の音の線」が伝送された場合を仮定し、これを解析する手法とのこと。(4コア以上のCPUなら、数時間で解析できるとのことでした)

「鏡像法」は数年前、MJ無線と実験誌が拙宅のリスニング・ルームを測定しに来た時に使っていた手法で、第一次反射の奥に音源を仮定して解析する手法という説明で、当時のことを思い出しました。


  セミナーが終わってから、私が講師に「小さな空間のセミナーを開催して欲しい」「小さな空間に関する書籍を紹介して欲しい」とリクエストしたところ、下記のサイトで良い資料があるとのことでした。 資料をダウンロードできます。

http://www.sona.co.jp/sitemap.html#downlord

さらに「Sound System Engineering Edition 4」という書籍も紹介してもらいました。これはAmazonで購入できます。 

 

 この「SONA」という会社の経営者が日本では「小さな空間の音響理論」の第一人者とのことですので、セミナーを開催してくれたら、また参加するつもりです。