MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

TRINNOV の改良(1)

  

  

 TRINNOV ST2 HiFi を購入する前、京王プラザホテルでオーディオ・フェアが開催された際に実物を聴きに行った時、この製品は通常のDSPを使わずに Linux ベースのPCを内蔵している製品である旨の説明を受けました。 しかし内部に空冷ファンがあることは知りませんでした。

 我家で使っている他のオーディオ機器とは異なり、TRINNOVの電源スイッチをONにすると、普段はほとんど気が付かない程度の極めて小さな「ファン・ノイズ」が聞こえるのを、購入後この部屋に設置して初めて気がつきました。 

 我家では、接続ケーブルを極力短く使う目的で、TRINNOVを4台のパワーアンプと共に左右スピーカーの間に設置しています。リスニング・ポイントからは3mほどの距離がありますので、このファン・ノイズは全く聞こえないのですが、このエリアに近づいた時に微小なファン・ノイズが聞こえて来ることがたまにあり、できることなら改善しておきたいと考えていました。

 スクリューを外してTRINNOV ST2 HiFi のボンネットを開けてみると、右側中央部に120ミリ角の大きな空冷ファンが水平方向に1基、そして左側に75ミリ角の中型空冷ファンが垂直方向に1基、取付けられています。

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TRINNOV ST2 HiFi 内部の冷却ファン2基

  右側中央部にある大きな120ミリ角の空冷ファンを取り外してみると、その下にインテル製CPU(Core i5)のためのアルミ製ヒートシンクがあります。すなわち右奥にあるのがLinux ベースのPCの基板で、その前が電源部と思われます。(下の写真)

 この120ミリ角のファンは「SCYTHE SY1225SL 12L」という型番で、スペックを調べてみると回転数は「500 rpm」でした。 国内で入手できる山洋電気パナソニックの「静音ファン」のスペックを参照すると、標準タイプが「2500 rpm」、ハーフスピードが「1900 rpm」、ロースピードが「1600 rpm」という回転数ですので、当該TRINNOV内蔵の120ミリ角ファンの「500 rpm」という回転数はかなり低い回転数で、これはオーディオ機器として使われる配慮から厳選された製品と思われます。 ファンノイズを低減するには回転数を下げるのが常道、しかし、これ以下の回転数にするくらいなら停止させてしまっても大きな問題はないだろう、と考えました。

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120ミリ角空冷ファンの下にインテル製CPU(Core i5

 左側にある75ミリ角の空冷ファンのすぐ横には一枚の基板があり、もしこれがDACであった場合を想定し、テストとして1時間ほど音楽データを再生しながら温度を確認していましたが、前述Linux ベースPCの基板と同様に、1時間経過後でも人肌程度の温度までしか上昇しませんでした。 もしこれがDAC基板で強制空冷を必要とする場合は、気流を導く特別な冷却ダクトを取り付けるはずですが現状では何もないので、この75ミリ角の空冷ファンはシャーシ内部に溜まった熱気を単に外部に放出するのが主目的で、限られたエリアを強制空冷する目的ではないのだろう、と考えました。

 この2基の空冷ファンを停止させた場合のリスクとしては、キャリブレーションが完了した直後から開始される3分間ほどの解析演算プロセスが、おそらく当該CPUに一番負荷がかかるはずですので、室温の高い環境での温度上昇でCPUがハングアップして解析演算が停止するとか、大きなデジタル・ノイズが発生する、などの問題が考えられます。(もしフランス本社にメールで問い合わせたとしても、ユーザーがボンネットを開けて2基のファンを停止させること、これを承認する訳はないと思われますので、聞かないことにします。)

 以上の考察から、今回は両方の空冷ファンの電源ケーブルを外して、2基とも停止させるという改善策を実行することにしました。 しばらく様子を見るつもりです。

 

P.S.

 本機の120ミリ角の大きな空冷ファンの固定方法は、遠いフランスからの距離を考えると輸送中の振動衝撃に耐えられるのだろうか、と心配になる様な脆弱な設計です。 価格が110万円以上の製品なのだから、あと千円そこそこのコストをかければ、より信頼性の高い固定方法はいくらでも設計できるはずなのですが、このシャーシ構造全体を見回しても、他にも脆弱な設計は散見されます。 エレキ屋さんもソフト屋さんも優秀なのに、メカ設計はもっと頑張ってもらいたい、と言いたくなります。