MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

Village Vanguard が復活!

 

  

 最近はオーディオ機器の買い替えもなく、現在はオーディオルームの前壁を「石井式サンドイッチ吸音構造壁」にするDIY工事で忙しい(?)ため、録画予約をしたまま観るのを忘れていた、BS-NHKの11月下旬放送「What a wonderful world 分断と闘ったジャズの聖地」を数週間遅れで楽しみました。 

 アメリカ全土がパンデミックに襲われ、マンハッタンにあった60余りのジャズ・クラブすべてが閉鎖されてから一年以上が経過、現在ではいくつものクラブが何とか営業再開したが、最も古い歴史を持つジャズ・クラブの老舗「Village Vanguard」は閉鎖されたままの状態でした。

 1935年に創業されたこの Village Vanguard はマンハッタンの7番街、店舗が地下にあるのでコロナ対策に必要な換気用の窓など一つもなく、換気設備の増設もままならない、このまま今後も営業の再開は難しいのではないか、と心配されていました。

 しかし三代目のオーナーと関係者の情熱によって、昔からの店内の壁や天井を保存しつつもコロナ対策に必要な換気設備を追加して、2021年9月14日に営業が再開されたとのこと、この店には過去一回しか行ったことがない自分としては「これでまた行ける」と嬉しい限りです。

f:id:MilesTAD:20211209215129j:plain

 

 この店を訪れたのは1999年12月、表通りからは幅の狭い赤いドアを開けて階段を降りて行くと、そこがジャズの聖地 Village Vanguard でした。店内は暗く、黒っぽい壁には50年代のジャズ全盛期にこの店で演奏した著名なジャズ・プレーヤー達の写真が直筆のサインとともにディスプレイされていました。

店内は狭く天井も低く、50cm程度の高さしかない狭いステージの上に立ってみると、John ColtraneBill EvansSonny RollinsMiles Davis など歴史的な演奏者達がこのステージの上で演奏したんだな、と考えるだけで鳥肌が立ってくる思いでした。来年かその次の年になるのか、パンデミックが沈静化したら、再度この店を訪ねてみようと計画しています。

 日本では「Village Vanguard」という店名を知らない人も多いですが、「Waltz For Debby / Bill Evans」はオーディオファンには良く知られた「耳タコ」アルバムの一枚です。

 Waltz For Debby と同日に同じメンバーで録音された「Sunday at the Village Vanguard / Bill Evans」があまり話題にならないのは不思議ですが、オーディオファンが好きな「地下鉄の音」も入っています。 ここでの演奏の約一週間後、Bill Evansのお気に入りベーシスト Scott LaFaro が交通事故で他界してしまったということから、主に Scott LaFaro をフィーチャーしたアルバムがこの「Sunday at the Village Vanguard / Bill Evans」なのかも知れません。

この他にも「Live at the Village Vanguard / John Coltrane」「A Night At The Village Vanguard / Sonny Rollins」など、Rudy Van Gelderのレコーディングによる独特のサウンドとリアルな臨場感は良く知られているところです。

 古くからのジャズ狂の作家、村上春樹氏が彼の旅エッセイの中で、「ニューヨークを訪れた最大の目的は Village Vanguard のオーナーと会うこと」と書いていましたが、彼の様なジャズ歴の長い人にも、やはりこの店はジャズの聖地。

ちなみにネット上で「村上春樹氏の書斎」を検索してみると、彼の膨大な数のジャズLPのコレクションと、早大の学生だった頃に彼自身が経営していたジャズ喫茶で使っていたSPシステム(JBL 375+D130+バックロードホーン)を現在も愛用している、という写真がありました。

 

https://i.pinimg.com/originals/c6/21/d1/c621d1b363699d1c4ec302b3fd8dd686.jpg

村上春樹がプライベートな書斎を公開。これが仕事ができる男のデスクだ。 | netgeek