MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

スロー・ハンド

 

 

 チョーキングとフィンガー・ヴィブラート、、、ファズやワウワウ・ペダルを駆使して大音量で奏でるブリティッシュ・ブルース・ロック、、、ゆっくりと見える指の動きから、素早いダイナミックなパッセージを次々と生み出すサイケデリックサウンドの元祖「Cream」のリード・ギタリスト。

Slow Hand

 素早いパッセージを演奏しているのに、左手はユックリと動かしている様に見えることから「スロー・ハンド」と呼ばれ、世界中のロックギタリストからリスペクトされて50年以上、しかし全盛期からコカイン中毒とアルコール依存症に苦しみ、もうダメだろう、もう引退だろうと思っていたら、なんと「日本武道館コンサート100回目」というニュースを見て「本当に?まだやっているのか?」と驚きました。

 毎日の様に友人達と集まり、新宿の喫茶店で「Cream」のアルバムを「耳タコ」で聴いていたのは高校生の頃だけ、その後の毎回異なるメンバーで発表するアルバムは Cream 当時の強烈なノリも薄れて、だんだん聴かなくなってしまいました。

 アコースティック・ギターの「Unplugged」が日本国内でもヒットしていると聞いた時も「今更クラプトンなんか聴いてもね」とCDさえも買いませんでしたが、ウチの女房のリクエストでCD+DVDセットを買って聴いてみたら「おっさんクラプトン」も悪くないことが分かりました。

 米国で1990年代に「MTV Unplugged」というライブTV番組があり、スタジオにアコースティック楽器を演奏するミュージシャンを招いて演奏してもらう番組、時には Bob DylanPaul McCartneyJimmy Page などフォークやロック界の大物アーティストが登場しましたが、Eric Clapton の出演を収録したアルバム「Unplugged」が米国で大ヒットしてから、これが日本にも紹介される様になったとのことです。

 我が家でいつもハードバップを聴く時の様に、音量を上げて、真面目に「おっさんクラプトン」を聴いてみました。 少人数の聴衆を入れたスタジオ録音は、Jazzクラブの様な周囲の雑音もなく、オンマイクな録音ではないけれど独特のリアルな臨場感、アコースティック・ギターの音が非常に生々しい、、、。 今までは、アコースティック・ギターのオーディオ用試聴盤として「Concierto de Aranjuez / Kaori Muraji (96kHz)」を使っていましたが、今後はこの「Unplugged」が使えそうです。

ただ Eric の声は相変わらず、、、Cream 時代から彼はこの程度の声質。

例えば Elvis Presley の様な、豊かな声量でドスの効いたテノール/バリトンではないし、John Lennon や John Fogerty (Creedence Clearwater Revival) の様な、少し高めでハリがある声でもない。全盛期から麻薬漬け、アルコール依存症、「ギターの神」とか「三大ロックギタリスト」とか呼ばれる輝かしい名声とは対局の暗い過去があるので、声が枯れているのは致し方ない、まあEric の声はこの程度、、、決して美しい声でないのは昔から同じです。

しかし、Muddy Waters や Howlin' Wolf をリスペクトし、Robert Johnson を師と仰ぐEric だったらこれでも結構イイじゃないか、と考えれば「おっさんクラプトン」もなかなか味があって楽しめます。

 アコースティック・ギターの試聴盤CDとして使い始めてからもう10年以上、これだけの販売数を誇るアルバムだから、きっとSACD盤も発売されるだろうと待っていましたが、一向に新発売の情報はありませんでした。 アコースティック・ギターだから広い帯域もダイナミックレンジも特に必要ないから発売されないのかも、、、と半分諦めていたら、Mibile Fidelity SACD盤「Unplugged」の音源を友人からを譲ってもらいました。

 我家では Mibile Fidelity社から発売されたSACDは、今までもBeatlesMiles Davisのメジャー・タイトルを収集して来ました。 この会社独自のリマスター工程を経て、いずれも素晴らしい音楽性を持ったアルバムでした。 毎回が限定数の頒布なので、常にアンテナを張っていないと見逃してしまいますが、今回は友人のおかげで、幸運にも「Unplugged SACD盤」のハイレゾ音源が入手できました。

今年からRoonを始めたので、Tidal のハイレゾ音源と、このSACDからリッピングした「Unplugged」のハイレゾ音源の比較試聴、近々やってみるつもりです。