今は午後10時だから、フランスとは時差が7時間、彼らはまだ勤務時間だろうと考え、パリのTRINNOV社にメールを出しました。案の定、15分も経たないうちに回答が来ました。「Chicken of the VNCはもう動かない。その代わり、MacOS Big surの中にある純正アプリScreen Sharingを立ち上げれば、問題なく動く」とのことでした。
まず最初の試聴用音源は、いつもの様に「WOOD / Brian Bromberg」の第1曲目の「The Saga of Harrison Crabfeathers(96 kHz/24bit)」です。 最初から音量レベルを上げてみました。 我家のオーディオルームは50Hz辺りに定在波のディップがあるのですが、それでも50Hz以下の低域が以前よりさらに重量感を増して、ベース・ソロのソリッドな低音が床を這って伝わって来る感覚があります。我が家のオーディオルームの床は、200ミリの基礎コンクリートの上に直接フローリングを貼り付けているので、構造上「低音が床を伝わって来る」という床鳴りはないはずですが、聴感上は足の裏に伝わる気がします。約10年間使っていたRey Audio RM-6Vでも、この様な感覚はなかったので、F特のデータで見る以上に低い周波数が再生されている、という印象です。
2番目も低域試聴用の「Homage to Duke / Dave Grusin(44.1 kHz/16bit)」を聴いてみました。 1990年代の発売時に購入した年代モノの音源ですが、今でも低域試聴用として使っています。 リーダーのデイブ・グルーシンが敬愛するジャズの巨人デューク・エリントンに捧げたアルバムとのことで、エリントン楽団の定番曲が演奏されています。 その中で第8曲目にある名曲「C-Jam Blues」は、前述ブライアン・ブロンバーグがエレキ・ベースを演奏していて、ウッド・ベースとは趣の異なるソリッドでクールなエレキ・ベースの音がどの様に再生されるか、この曲は低域試聴用として使えます。 以前は聴いたことがなかった「より重量感の増した」低域になったことが一聴して分かる、ソリッドなエレキ・ベースの音が楽しめました。
試聴用音源3番目は「Another Time / Bill Evans(176 kHz/24bit)」です。これはライブ録音なので聴衆の拍手などが聞こえ、音質云々を抜きにしてジャズそのものを楽しめるアルバムです。 今回は低域の試聴用として、この中の第3曲目にある「Who Can I Turn To」を聴いてみます。 聴きどころは、2分10秒辺りから始まるエディ・ゴメスのベースソロです。かの歴史的なビル・エバンス・トリオの一翼を担ったスコット・ラファロ夭折の後、後継者として21歳で加入し12年間に渡って在籍することになる若きエディ・ゴメスのベース演奏は一聴の価値があります。このアルバムはいわゆる「オン・マイク」な録音なのですが、エディ・ゴメス特有の左手の弦がバチバチいうエッジの立ったサウンドでなく、ベースの胴鳴りの重量感がよく録られていて、今回の吸音材の調整の効果がはっきり確認できました。
次は「Soul Station / Hank Mobley(96 kHz/24bit)」、これは典型的なハードバップのアルバムで、オーディオ的な音の解像度や定位等を言う前に、1960年当時のジャズの熱い雰囲気やエネルギーがうまく再現されるかどうか、聴いていてハードバップが楽しめるかどうか、自分の判断基準として使っています。第2曲目の「This I dig of you」を聴いてみました。