MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

ウーファー用エンクロージャー(8)

 
  
 
 座間市から2tトラックに積まれて、新しいエンクロージャーが運ばれてきました。 余ったロシアンバーチの端材も廃棄せずに全部持ってきて欲しいと頼んだので、それも結構な量が積まれていました。
 
 8月1日の当日、午後1時過ぎはおそらく気温35度は超えていたと思います。リフターで道路まで降ろしてから台車に乗せて運ぶのですが、台車の位置を整えたりするだけの端役の自分でさえ汗が噴き出して来る暑さ、、、重量物を運んでいる二人の職人さんは何も言わず、黙々と作業を進めています。
 
 台車に乗せて運んでいる時から「こんなに大きかったかな、、、」とその大きさを持て余し気味でした。ロシアンバーチ材の比重データが入手できなかったので事前に全体重量を計算していなかったのですが、何にしても予想していた以上に大きく、そして重いです。
 
 部屋の中に用意しておいた台車に乗せてもらい、受け取りのサインをして搬入作業は終了。
職人さん達が帰ってから、全部のエアパッキンを剥がそうとしましたが、二重のエアパッキンの下は発泡ウレタンシートが二重巻き、各コーナーには保護用のL型パットが貼り付けてあったり、、、家具屋さんの梱包はこんなに丁寧なんですね。
 
 台車に載せた状態でエアパッキンを全部剥がし、やっとエンクロージャー本体が出てきた、というところで写真を一枚撮りました。

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 内部の補強枠(下の写真)も自分の図面通り、ロシアン・バーチを積層して正方形断面(60x60)の角材を製作し、これを2本にして中央に配置していますが、とても綺麗な仕上がりです。
 密閉箱の内部なので誰の目にも触れない部分、、、それにも関わらず、表面は丁寧に仕上げてあり、正確に面取りが施されています。 見えない部分でも手を抜いていない、、、座間市のFW社は近年ではめずらしい「職人気質」を持った、実に真面目な会社だと感心しました。
 
 バッフル枠には鬼目ナットを埋め込みました。レイオーディオにはもっと安価なタイプの鬼目ナットが付いていましたが、トルク管理をしても破損したことがあったので、今回はトップメーカーの「M6鬼目ナット」を選びました。 これを使って、前バッフルはM6ステンレス・スクリュー16本で固定する設計としてあります。
 

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内部の補強枠
 
 ちなみに、下の写真は我が家にあったレイオーディオRM-6Vの内部です。
購入した当時は「かなり強固な補強材」と感じましたが、今回製作したエンクロージャーと比較すると、さすがのレイオーディオもひ弱に見えます。 
 このレイオーディオには何十倍も支払いましたが、補強材の表面仕上げなどは全くナシ、接着剤もはみ出していました。 しかしプロ用機器ならこれでも良いはず、プロ用機器を自分のオーディオルームに持ち込むから、些細な部分に不平不満が出る、、、これはプロ用機器なのだという割り切りが大切、10年間使ってみての愚者の悟りです。
 

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レイオーディオ内部
 連日35度を超える暑さですが、これを良いことに後バッフルの塗装(ツヤ消し黒)をスプレーしました。 灼熱の直射日光であっという間に乾燥したので、室内に持ち込んでSPターミナルを仮付けしてみました。
 今回の設計テーマは「無共振エンクロージャー」、つまり「共振」を一切排除した設計です。長年慣れ親しんだバスレフのダクトの「空洞共振」をも避けて密閉箱とし、そして40ミリ厚のロシアン・バーチ材を使い、前後バッフルをφ30の真鍮棒8本(合計32kg)で連結して「無共振化」を図りました。
 だから後バッフルにも必要以上に大きな角孔(窓)は空けない様に必要最小限の開口としたのですが、ある程度予想していた様に、バッフルの板厚が厚過ぎるのが原因で、SPターミナルが奥まった状態になってしまい、SPケーブルに曲げストレスがかかった状態になっています。
 

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 曲がり難いレイオーディオの純正ケーブル(8.0sq)やTAD製のCGRケーブルを使っていた頃よりはマシですが、この比較的取り回し易いオルトフォン7NのSPケーブル(5.5sq)でさえもこの状態、、、このまま組み立ててしまうと、きっと後で不満と後悔が出て来るだろう、、、修正するなら今しかない、ルーターで45度の面取り(C15)を加工してみました。
 

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 四隅のR部分も綺麗なC15に仕上がって、一応これで満足というところです。 ここもツヤ消し黒で追加塗装して完成です。 
こんな些細な部分にこだわっているから、遅々として進みません。
 
 次は「WATCOオイル・ステインの塗布」です。
 エンクロージャーやオーディオ・キャビネットなどを自作し、ウォルナットのツキ板を貼り付けて、最後の工程で行なう「WATCOオイル・ステインの塗布」は、木工を楽しむ自作マニアにとって大きな満足感が得られる工程です。 WATCOオイルを塗布した部分から、ウォルナットの美しい木目が浮かび上がって来て、究極の達成感を味わえる最終章です。
 
 しかし今回に限っての大問題はオイルの匂いです。
小型エンクロジャーやSPスタンドなどは庭先でオイルステインを塗布して、そのまま物置に10日間ほど放置しておけば、匂いもほとんどなくなった状態で室内に入れられます。しかし今回の大物はこの部屋から出せないので、このオーディオルーム(兼書斎)で塗布するしかありません。一週間以上、この部屋で何もできない状態になってしまいます。