MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

ウーファー用エンクロージャー(9)

 
 
 
 オイルステインの匂い充満して一週間も部屋が使えないのは困る、などと言っていたら何も進まないので、涼しい時間帯を狙って朝5時に起き、オーディオルームの窓を全開にし、一気にオイルステインを塗り始めました。
 

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オイルステイン塗布、真鍮ロッドの取付け
 
 オイルステインも塗料の一種なので、基本的には塗装面を水平にして塗布するのが望ましいのですが、今回はモノが大きく重いので塗装面を上に向けることが難しい、よって両側面は垂直のまま、床にダンボールを敷いて垂れない様に気を使いながら塗りました。
 
 オーディオ仲間のハリさんから勧められた「油研ぎ」もやってみました。耐水ペーパーは本来、液体に濡れた状態で研磨するのが原則、今までドライのままで研磨を行なって来たので目詰まりでペーパーを無駄使いして来ました。なるほど「油研ぎ」の方が全然楽ですね、匂いさえガマンすれば、この方が綺麗に仕上がります。アドバイスありがとうございました、オーディオ仲間からの親身なアドバイスに感謝です。
 
 話は前後しますが、エンクロージャー本体は本当に綺麗な「ウォールナット板目」に仕上がったのですが、実は前日に屋外でオイルステインを塗布した「前バッフル」の色が大失敗でした。 上に載せる山本音響工芸のウッドホーンの色に少しでも近づけようと、通常のウォールナット色よりも若干マホガニー色を増やしたのですが、これが大失敗、、、赤色が強すぎる色調に仕上がってしまいました。
 塗っている時から「何となく、少し赤っぽいかな、、、」とは感じていたのですが、「あれだけ何枚も色見本を作って確認したのだから、これで間違いはないはず」、「きっと室内の照明ではもう少しウォルナット色に近い仕上りとなるはず」などと変な自信を持って塗ったのが大失敗の原因でした。
 
 やるだけやってみよう、とペイント薄め液、ラッカー薄め液、アセトン、ウォルナット色のオイルステインで再度の油研ぎ、など試してみたのですが、すでに木目に入り込んだオイルステインは元に戻りませんでした。
 
 赤みが強くなり過ぎた「失敗作」はツヤ消し黒色に塗装し直し、当面これを使うことに決めてエンクロージャー本体に取り付けました。
当初から50、60年代のJBL C40 Harkness やC38 Baron の外観デザインを目指していたのですが、前面バッフルもウォルナット木目にするはずだった、、、しかし、まあ雰囲気だけは出ています。負け惜しみも含めて、ツヤ消し黒色も決して悪くはない、、、(と考えることにします)。
今回はサランネットも付けるので、とにかく、これで音出しができます。(もう一組、ウォルナット木目の前バッフルをFW社に追加発注しました)
 
 吸音材(アクリア、密度36kg)も投入しました。 密閉箱なのでバスレフほど少ない分量ではないにしても、どれ位入れようか、、、試しにエンクロージャーの奥行き方向の後ろ半分位まで入れてみることにしました。(下の写真)
 350Hz以下の低い周波数の振動エネルギー吸収がメインなので、密度36kgの堅めの吸音材が多少でも動き易くさせるため、、5ミリ程度の間隔を保って配置しました。
 
 8本の真鍮棒(金色)は前バッフルと後バッフルを連結している「補強用ロッド」です。 1本が約4kgなので合計32kgの重量、前後のバッフルは両方とも42ミリ厚を使っていて「どんな共振も許さない」という意気込みの無共振を狙った設計です。
 

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 ずいぶん昔、米国製のAR-3という密閉箱のSPシステムがあって、あれは確かエンクロージャーの内容積全体に吸音材を充填して「アコースティック・サスペンション」とか呼ばれていたのを覚えています。
TADのウーファーでアコースティック・サスペンション方式が実現できるのか、、、まあ初めての密閉箱です、入れ過ぎたらどんな音になるのか、少ない場合はどうなるのか、カットアンドトライで楽しみながら調整していこうと思います。
 
 今回の吸音材は、旭ファイバーグラス社製の「アクリア」という製品を使いました。従来のグラスウールよりもかなり細い繊維が使われているので皮膚への刺激が少なく、吸音効率が10%程度改善されているというものです。ゴム手袋とマスクを着用して作業を行なったのですが、謳い文句の通り、作業の後も「チクチク感」は全くありませんでしたので、これは良い製品だと思います。今回はウーファー用のエンクロージャーですので、低い周波数の吸音効率向上を狙って「36kg」の固い製品を選びました。 
 
 なお「無共振」を狙って設計するエンクロージャーの材料として考えられる「木材」「アルミ材」「石材」「コンクリート」等のうち、一番軽いのは「木材(比重1.0以下)」ですが、他の三者はどれも「比重:2.7」近辺です。アルミ材が一番軽いのではないかと考えがちですが、石材(2.5~2.8)やコンクリート(2.4~2.5)とほぼ同等ですので、切断したり組立用のネジタップの加工など「加工性」を考えれば、コスト面でも性能面でも、アルミ材は十分に検討する価値があります。
 
 ちなみに最近のハイエンド・スピーカーで、25mm厚ほどのアルミ材を使用したエンクロージャーがいくつかのメーカーから販売されています。「航空宇宙グレードのアルミを使用して、、、」などと説明している製品もありますが、航空宇宙用のアルミ材は一般的に高価で何となく説得力があります。 しかし、大きな曲げストレスや熱変形を全く受けない、耐食性も必要ないオーディオ用途では、アルミのグレードを特に意識する必要はなく、より安価な市販のアルミ材(A5052)で必要十分です。
 JISで規定されたアルミ材は10種類以上ありますが、耐食性やヤング率が違うだけで、基本的には「比重:2.7」ですので、新しくエンクロージャーを設計製作する際には、どのアルミ材を使っても同等の結果が得られます。
 
 
 
 

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