MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

コンプレッション・ドライバーのフェイズ・プラグ(2)

 
 以前、Rey Audio の木下さんが何かの雑誌の記事で解説していたのを覚えていますが、TD-4001のフェイズ・プラグに関して「なぜ5スリットがベストなのか」という点について、とても興味深く読んだ記憶があります。

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 ダイアフラムのある点からフェイズ・プラグのスリットへの距離と、別の点からフェイズ・プラグのスリットへの距離をできるだけ等しくする(位相ズレを少なくする)には、4スリットよりも5スリットの方が望ましい、それなら「6スリット」にしたらもっと高域が延びるだろう、と考えて試作してみると、思いもよらず高域が早めにロールオフし始めるのだ、という内容でした。

 
それを立証するかのように、その後で発売されたSONYの4インチドライバーも、同じ「5スリット」でした。やはり、このレベルまで来るとテクノロジー的にも限界に近く「5スリット」から一歩も動けない、ということなのかも知れません。

 しかしこの後で、JBLからは2446, 2450, 475 等に搭載された「コヒーレント・ウェーブ(Coherent Wave)」という曲線を描いた見事な形状のフェイズ・プラグが発表されました。

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またTADからは、TD-4003 に画期的な形状のフェイズ・プラグが搭載されました。これは全部のフェイズ・プラグのスリットを同じ長さに揃えるのでなく、外側から順々に位相を合せて最終的に中心部に導いていく、このTD-4003 のフェイズ・プラグは、より機械加工が容易になる様に先端がかなり鈍角になっていて「鳴き」も少ないだろう、と想像できる形状です。

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 ただ、TD-4003 はネオジウム・マグネットを採用したのでスロートが極端に短く、従って外観もズングリムックリで、TD-4001 を初めて見た時の様な魅力的な外観には程遠い気がするのは私だけでしょうか。持ち上げてみても軽いし、、、同じ40万円出すなら重量の重い方がきっとイイ音がするに違いない、と考えるのは、私がまだビギナーの域から抜け出していないということなのかも知れませんが、、、。

 話がそれましたが、5スリットにすることによって「エッジ部分の共振」も利用して20kHzまで高域を延ばす、という手法を聞かされると、「あぁ、それでTADもSONYも、最高域の部分でピンッと角が立った様な特性になっているのかな、、、」と思い当たるフシがあります。あのツノのトンガリをデジタル・イコライザー等で押さえ込むと、TD-4001 の厳しい高域が滑らかになって、クラシックもかなりのレベルまでいける、と仲間から聞いて試してみましたが、確かにその通りでした。 だから、GTサウンドが新型ユニットではあえて「4スリット」に戻したのは、無理して「20kHzまで」を欲張らず、うまくロールオフさせて滑らかな高域を出しているのかな、と想像しています。先日、お店のシステムで聴かせてもらったヴァイオリンの音は、4インチ超弩級ドライバーの外観とイメージからは想像もつかない、とても静かで柔らかい音でした。