MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

JBL 375 +ベリリウム振動板

 
 
  先日、ホーンドライバーについてネットでいろいろ調べていたら、JBL製品のレストアでおなじみの「Kenrick Sound」のWebサイトに「JBL 375 にベリリウム振動板を組み込んだ」というスペシャル・バージョンを見つけました。
 
 JBL 375 は私が高校生の時からの憧れのアイテムで、TAD TD-4001ドライバーを導入する前に10年ほど使っていたことがあり、いろいろ実験したりして楽しんだことを覚えています。
 
2009年の私のブログも書きましたが、JBL 375 から376の振動板に交換した後、無線と実験誌別冊に掲載されていた山本茂樹氏の記事を参考にして真鍮製スペーサーを特注し、JBL2446純正の「チタン振動板」を取り付けたことがありました。 
 振動板をオリジナルのアルミ振動板からチタンに交換したことで、376/2441の特徴であるダイアモンドエッジによる高域はそのままに、375 から376への進化で失った375特有の厚い中低域が少し蘇りました。
 
 特注して製作した「真鍮製スペーサー」は厚さ0.3ミリですが、山本茂樹氏の記事にもあった様に、振動板とフェイジング・プラグの距離が0.3ミリ離れたことによる悪影響はF特上も見えませんでした。
振動板の前と後ろの空間のエア・バランス(?)のため、2446のプレート上にある掘り込みの代わりに0.3ミリスペーサーを取り付けたのですが、こちらの方が重要だったと思います。
 ちなみにTAD TD-4001ドライバーにも形状は異なりますが、同様なスペーサーがあります。下の写真にある様に、ボイスコイル・ギャップの外周に放射状に並んでいる8個の正方形がスペーサーです。 
 

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 以上の様に、4インチ・ダイアフラムのドライバーに存在するスペーサーが、2インチ・ダイアフラムのLE175/85や2420/2421にはありません。よってJBLの2インチ・ダイアフラムのドライバーは、何も気にせずに旧来のアルミ・ダイアフラムから2425/26用のチタン・ダイアフラムに交換して、音のグレード・アップを楽しめることになります。
 
 これらの経験から考えても、Kenrick Sound のベリリウム振動板を375に取り付けた場合、どの様な音になるのか非常に興味があります。
フェイジング・プラグを変更したという記述はないので「4スリット」のままの様ですが、写真を見るとエッジは375と同じロールエッジの様で、これでどこまで高域が延ばせるのか、とても興味深いです。
 

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 逆に「なぜ?」と疑問に感じたのが「バブル・バック」と称する、初期の375に採用されていた、振動板の後側に極端に近づけた、吸音材なしのリアカバーです。
 

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 ステンレス製とのことで材質は望ましいですが、振動板の後側から発せられた音圧をバブル・バックで反射させて振動板に戻す、、、こんなことをして何のメリットがあるのか、振動板が出す音と反射の音が干渉して歪みが増えるのではないか。
 前述の山本茂樹氏の記事でも、吸音材嫌いの彼がバックキャビティのスポンジを取り除いたデータが記載されていましたが、データ上も歪みが明確に増加して「バックキャビティの吸音材は取り除かない方が良いのかも知れない」というコメントを載せています。
 
 375ドライバーは、かのバート・ロカンシーが開発した製品で、WE594ドライバーのアルニコ版ですが、彼は初期型以外は375のバック・カバーを後ろへ伸ばし、バック・キャビティには吸音材を入れています。
その後、彼の設計したGaussのドライバーやパイオニアの技術顧問として開発したTAD TD-4001ドライバーも比較的大きなバック・キャビティと吸音材の組み合わせを踏襲していますので、やはり振動板の後側は吸音すべきではないか、という気がして来ます。
 
 「Kenrick Sound」のWebサイトには「初期375の煌びやかな音、、、」という記述がありますが、確かに頷ける音質の傾向だと思います。 しかしオリジナルの設計者がこれ以降、バック・キャビティには吸音材を入れているという事実から、ここは改善の必要があるのでは、と思います。
 
 しかし、自分の愛用する375を「Kenrick Sound」に送ると、マグネット回路まで全バラして、プレートもメッキし直し、マグネットを再着磁、スロートも砲金製の部品に交換し、最後にベリリウム振動板をインストールして、新品になって送り返されて来る、、、何か読んでいるだけですぐにでも375を発送したくなって来ます。
 
 改造費用は2台で「90万円」とのこと、新品のTAD TD-4001ドライバーを買うよりもはるかに高価です。
「TD-4001ドライバーを使っているのに、今さら JBL 375 ?」とオーディオ仲間に笑われましたが、375 ドライバーは私の永遠の憧れ、、、TD-4001ドライバーは誰でも買えますが、「ベリリウム375」はこの店でしか買えません。
 
ベリリウム375」とTD-4001を揃えて、どこまで迫れるか試してみたいとプランしています。