MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

ウーファー用エンクロージャー(4)

 

 
 
 最初のデザイン(外観)プランでは「バーチ(白樺)材の木目」をそのまま使い、表面の色は「山本音響のウッドホーンの色」に合わせて、最後に「5分ツヤの透明ウレタン塗装」という仕上げを考えていました。
 
 そして、前面バッフルから見て一番目につく「木口」は、バーチ材の細かい「積層面」を表面に見せるデザインでした。(下の写真)
 
 市販のラワン合板は21ミリ厚の場合には積層枚数は「7枚」ですが、バーチ材の場合は「15枚」と薄い積層が緻密に美しく積層されていて、最近の家具業界でもこの「積層面」を外観のデザインとしてあえて見せる家具(テーブル等)も多く見受けられます。
 
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 今回のバーチ材は「40ミリ厚」ですから合計で30層ほどの積層となり、これはなかなかの外観となります。 「積層面」を見せる外観デザインはプロ用機器の雰囲気があって、決して悪くはないと考えていたのですが、、、。(レイオーディオRM-6Vもアピトン合板の積層を随所に見せていました)
  
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 しかし何回考え直しても、やはりウォールナットの木目の方がバーチ材よりも圧倒的に美しいと思います。
自分のオーディオ人生も第4コーナーを回って、現在「終活中」の私としては、これが「最後のエンクロージャー」になるかも(?)知れない、今回は妥協せずに満足のいくものを製作したい。
だからウォールナットのツキ板を貼り付けて、WATCOのオイルで仕上げたエンクロージャーが、俄然、欲しくなって来ました。
 
 そこで、組立が完成して納品されたら、自分でウォールナットのツキ板を貼り付ける最終仕上げ工程をやろう、と久しぶりに燃えてきました。
 ツキ板を貼り付けるのは、一般的な木工用ボンド(コニシなど)とアイロンがあれば可能です。以前の相模原の家の一階には、自分の工作室があったので、当時さかんに製作していたバックロード・ホーンやバスレフのエンクロージャー、オーディオラックには必ずウォールナットのツキ板を貼り付けて完成させていました。
 
 手間と時間はかかりますが、ツキ板を貼り付けると市販品と同等、もしくはそれ以上の仕上がりになり、自作マニアとしては完成時の達成感、そして最後にオイルステインを塗って仕上げていく工程は自己満足の極致を楽しむことができます。
 
 以前ツキ板を発注していた会社がなくなってしまったので、現在では下記の会社がツキ板を取り扱ってくれます。
 
 ツキ板というのは、ウォルナットの原木から厚さ0.3~0.5ミリ程度の薄い板を剥ぎ取って生産されています。 発注するとこの薄いウォルナットの板(シート)が「丸められた」状態(下の写真)で送られて来るのですが、秋や冬などの乾燥した季節には、この薄いツキ板が乾燥して反り返ってしまったり、割れが入ったりするので、受け取ってから一週間以内に合板に貼り付ける作業をする必要がありました。
 
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 しかし現在、上記の会社で扱っているのツキ板は、厚さ0.3~0.5ミリ程度の薄いウォルナットの裏面が和紙で補強されているタイプ、出荷前に接着剤が塗布されていて、アイロンで満遍なく100~103℃に熱すれば貼り付けができるタイプなど、以前と比べればはるかに改良された製品が入手できます。
 
 ただし、一般的なビニール木目シートなどの場合と大きく異なるのは、失敗すると剥がして貼り替えることがほとんど不可能だということ、、、貼ってしまったあとは電動カンナで削り取っていくか、さもなければエンクロージャーそのものを作り直すしか解決策がないので「絶対に失敗できない」という覚悟でやる必要があります。
(過去の自分の失敗例として、製作したばかりの大型20cm用バックロードホーンへの貼り付けを失敗し、結局、現物は大学生にタダで持って帰ってもらった、ということがあったのを思い出しました)
 
 今回のエンクロージャーへの貼り付けについて、自分でツキ板を貼ろうか、それとも木工所に依頼するか、いろいろ考えました。 上記のツキ板の会社にも聞いてみましたが「バーチ材へのツキ板の貼り付けは、接着の歩留まりが悪いので、弊社ではお断りしています」という返事でした。
 
 ツキ板専門の会社が「接着不良」を心配していると聞かされると、これは自分でやるのは避けた方が良いかも、、、何十万円もコストをかけて納品されて、最後に我が家でツキ板で失敗したら、、、などと考え始めたら、だんだん不安になって来ました。
 
 しかし、不安なことや心配なことは横へ放っておいて、あとで決めれば良いだろう、まずは全体の外観デザインを考えることにします。
当初のバーチ材に着色して透明ウレタン塗装で仕上げる方法、というと一番上の写真の外観になってしまいますが、ウォルナットのツキ板を貼り付けるとなれば、自分の好きな外観にすることができます。
 
 10年間、レイオーディオRM-6Vを毎日のようにこの部屋で見て来ましたので、もうスタジオ仕様、プロ仕様の外観は食傷気味です。 もっと高級感のある高品位なデザイン、例えば私が羨望する1950~60年代のJBL製品のデザインを取り入れたらどうかと考えています。
 
 JBL オリンパスの「組格子」は素晴らしいけど、あれを手彫りで作るのは無理なので、どこか製作してくれる木工所を探さねばなりません。(コストはどれくらいなのか、きっと高いんだろうな、、、)
 
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 全体のイメージはJBL「Baron」のC38エンクロージャー(下の写真)を想定しています。
「C38 Baron」は1955年から生産が始まったJBLの中型機で、D130とLE175を使ったバックロード・ホーンで有名な「C40 ハークネス」が高価だったので、それが買えない人向け(?)の、ハークネスの音質と雰囲気を継承した普及版でした。
 

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 ちなみに、この当時の製品の前面に取り付けられていたJBL社のロゴマークは、現在の様な四角い「JBL」ではなく、ビックリマークの丸の中に小さくJBLが入っている形状で、私の様な1950~60年代のJBL製品を羨望するファンには重要なポイントとなっています。(こんな些細なことを気にするのは、JBLオタクだけかも知れません)
 
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 今回製作するエンクロージャーの外形寸法は「JBL Baron」よりひと回り程大きいですが、全体的なプロポーションと雰囲気は「JBL Baron」を狙っています。 
 よって「木口」周辺は下の写真の様に「額縁」を少し前に出したデザインとなります。
この額縁を前に出すのは「音質的に良くない」と昔から言われています。 しかし10年間使っていたレイオーディオには額縁もサランネットも無かったし、RM-6Vはフロント・バッフルから20ミリ引っ込だところにユニットが取り付けられていたので「同じ様なものだろう」ということにします。
それ以前のTADのエンクロージャーにも額縁はなくフラット、この「額縁なしタイプ」が20年以上続いた訳です。
 
 我が家のSPシステムは、RM-6Vの時もウッドホーンウーファーのクロスオーバーは「330Hz」でほぼベストでした。 330Hzなら「額縁の悪影響」はそれほどでもないだろう、といつもの様に楽観的に考えることにします。 
何にしても「Baron」や「ハークネス」の様な1950~60年代のJBL デザインに対する私の大きな羨望は抑え切れません。
 
 さて、最終工程の「ツキ板の施工」をどうするのか、このポイントを決める必要があります。
 

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