2007年の11月に「DEQX PDC-2.6P」を購入し、レイオーディオRM-6Vの再生に使ってきました。
このDEQX PDC-2.6Pに関しては、不親切なソフトウェアと取扱説明書に困りました。 近隣に住んでいた友人Myu氏に何回もヘルプを仰ぎ、輸入販売元にメールで質問を繰り返しながら、満足な音が出るまで数ヶ月かかりました。
もしMyu氏のヘルプがなければ最初の1ヶ月で手放していたかも知れません。
この「PDC-2.6P」を5年間使って、その後、次世代の「HDP-4」を購入して使い続け、合計して10年余りが経過しました。
慣れて来たHDP-4を使いながらも、完璧なサポート体制と信頼性の高いAccuhase社のデジタル製品であるDG-58とDF-55/65を時々は横目で見ながら「いつ乗り換えようか」と考えていましたので、そろそろ、、、、と買い替えのアクションを起こすことにしました。
DEQX HDP-4の特徴は、デジタル音楽信号をS/PDIF入力端子で受け、音量調整、パラメトリック・イコライザー、デジタル・チャンネル・デバイダーまで全行程をデジタルで処理を行ない、最後にD/A変換してパワー・アンプまで送ることができるという点です。 つまりA/DとD/A変換を繰り返さないこと、そして全部が一つのシャーシに収められているという点です。
これをAccuhase社のデジタル製品に置き換えようとすると、「DG-58(グライコ)」と「DF-65(チャンデバ)」が現行製品としてありますが、問題なのは前段で音量調整を行なう「デジタル・プリ」が現行製品に存在しないことです。 大枚を支払ってC-3850を購入しても、デジタル音楽信号(Alac/Flac)を一度D/A変換して音量調整その他を行なった後、再度A/D変換してデジタルに戻してから、次段のデジタル機器に送り、最終段でもう一回D/A変換してパワー・アンプに送る、という工程が必要になります。 20年程前に発売された「DC-330」というデジタル・プリアンプがありましたが、現在では中古市場でも目にする機会は少なく、コンディションも様々なので何かと心配です。
いろいろ調べている間に、「TRINNOV ST2 HiFi」というフランス製の、DEQXと類似の一体型の製品があるのを知りました。 写真を見ると、大きなロゴが全面パネルに彫刻されているだけで、それ以外何もない、、、見ればすぐに欲しくなるDG-58のゴージャスなデザインとは比較にならない、「何だ、これ?」という外観です。 最近は100万円を超えるハイエンドのオーディオ機器でも??なデザインのものが多く、これもその一つかも知れません。 しかし性能と先進性はなかなかの製品の様です。
過去の読み飛ばしていたオーディオ専門誌の記事も読み返してみると、これは「次期アイテム」として検討すべき製品であることが分かりました。
真剣に比較するため、各々「候補」の各機能、調整方法、価格などをリストにまとめました。
TRINNOVの特徴は、リスニング・ポイント一箇所だけに「3Dマイク」を設置することによって、ダイアフラム位置の調整(Time Alignment)や位相、群遅延、そしてF特補正のすべてを自動で行なう、という点にあります。
TRINNOVの欠点というべきは、「Xoverスロープ」が最大でも「24dB/oct.」までしかないこと、これをどう考えるかです。 レイオーディオRM-6Vを使って来た10年間、Xoverを350Hz、60dB/oct.としてベストな結果を得ていたので、これを450Hz辺りまで上げる必要があります。
DEQX HDP-4の場合は、各SPから1mの距離に測定用マイクを設置し、左右別々に測定を行なった後、この測定データに基づいてTime Alignment、位相、群遅延を自動で調整を行ないますが、部屋の音響特性を含めたリスニング・ポイントでの測定はF特の補正のみに留まる点が異なります。(やはり後発のTRINNOVに一日の長があります)
AccuhaseのDG-58は、リスニング・ポイントにマイクをセットしてF特を測定してそれを自動でフラットにするだけで、TRINNOVとDEQXにある位相や群遅延等を自動調整する機能は全く無い様です。
真剣に比較し熟考してみると、最後発のTRINNOVのアルゴリズムの先進性は注目すべきで、次期アイテムには「これがベストでは」と思い始めました。
そこで近所のオーディオ専門店に依頼して、我が家で実際のセッティングを含めたデモを見せてもらい、音を聴いてみることにしました。