MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

TRINNOV の「24 dB/oct」というクロスオーバー・スロープは使い物になるか? (1)

  

 最近まで使っていた「DEQX社製 HD-4」は、クロスオーバー・スロープが最高値「300 dB/oct」まで設定できました。 今まで「300 dB/oct」までは使ったことはありませんが、できる限りクロスオーバー周波数を低くしたかったので、「96 dB/oct」を選んで設定していました。

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 昔からホーンのクロスオーバーは「カットオフの2倍の周波数」が定説となっていましたが、FIRフィルターのデジタル・チャンデバが搭載されたDEQX HD-4を導入してからは、インパルス応答の測定結果を参照しながら、ホーンロードがかかるギリギリの周波数まで使用することで、とても良い結果を得ていました。

  今回のTRINNOV ST2 HiFi のチャンネル・デバイダーは「24 dB/oct までしかない」ということは買う前から分かっていたのですが、このポイントを拙宅にデモに来た輸入元のステラ(株)に確認してみました。

  ステラ(株)のコメントでは「将来、ファームのアップデートで改良される可能性もあります」とのことだったので、「なるほど、それなら期待が持てるかも、、、」などとエレキ素人の私は半分納得してしまいました。

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 下記は拙宅のメインSPシステムを、距離「1.0 m」にマイクを置いてインパルス応答で測定した周波数特性です。TL-160bウーファーと山本音響のF-310ウッドホーンには「全帯域」の信号を入れて測定しています。

山本音響のF-310の公称カットオフは「310 Hz」で、この測定結果から、確かにカットオフギリギリまでホーン・ロードがかかっている優秀な設計であることが分かります。 

 この状態で「24 dB/oct」のスロープで使うには、クロスオーバーをどこに設定すべきか」検討するために、青色ラインで「24 dB/oct」を表示してみると「400 Hz」が最下限であることが分かります。

ちなみに「灰色のーーー」で表示してあるのが「DEQX の96 dB/oct」の特性で、「96 dB/oct」の場合はクロスオーバー「350 Hz」でも十分にホーンロードがかかっているのが分かります。

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24 dB/oct と 96 dB/oct の比較

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山本音響工芸 F-310

 テナー・サックスの低域は無理としても、トランペットやフルート、女性ボーカルの低域はできるだけウーファーからは出したくない、ウッドホーンから出したい、という方針から考えて、現状の「400 Hzが最下限」では満足できません。

 ちなみに下記は、一年前まで使っていたレイオーディオRM-6Vの周波数特性で、同じインパルス応答で測定した結果を表しています。 

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レイオーディオRM-6V(96 dB/oct、350 Hz)

RM-6Vに搭載されているレイオーディオ製RH-3ウッドホーンの場合であっても「350 Hz」のクロスオーバーは、96 dB/octスロープであれば、十分なマージンがあったことが分かります。

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レイオーディオ RH-3

 レイオーディオRM-6Vに付属している純正の「High Level X-Over」と称されるLCネットワークは、過去2回バージョン・アップが行われて、最初のクロスオーバー周波数600Hzから500Hzに下がり、さらに現在では「425 Hz」へと下げられています。 

 プロのモニター現場での大音量の環境で使われるレイオーディオが「425 Hz」のクロスオーバーで使われているなら、それよりも遥かに小音量な我が家の環境では「350 Hz」が実現できるのではないか、、、このポイントを追求していこうと思います。