MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

デジタル・オーディオのメッカを訪問

   

 この地球上で「メッカ」といえばサウジアラビア南部の都市、世界中のイスラム教徒が巡礼する聖地と知られていますが、無宗教の私が「巡礼」したのは別のメッカです。
先週の木曜日(9月26日)、京都にある「デジタル・オーディオのメッカ(まつさん邸)」を訪問して来ました。
 
「京都のまつさん」とはブログ上で情報交換などさせて頂いたことは過去に何回かあったものの、今まで一度もお目にかかったことはありませんでした。
しかし、まつさんの豊富な知識と経験に基づいたオーディオ・システムの構築、全く衰えないオーディオへの熱い情熱には以前からリスペクトしており、一度はお話を伺いたいと考えていました。
今回、私よりも先にTRINNOV ST2 HiFi を導入され、精密な測定結果に基づいたチューニングを実践されていらっしゃったので、TRINNOVビギナーとして「ぜひとも」とお願いして訪問させて頂くことになりました。
 
 幼少の頃から東京近隣に住んでいる私にとって、やはり「京の都」は特別な街、、、まるで成田空港からパリへ旅立つ時の様な気分で早朝の新幹線に乗り込みました。
 
 たった2時間で京都に到着、京都駅までまつさんが出迎えて下さいました。(メッカへの巡礼者が車で出迎えてもらえるとは、、、ありがたい事です。)
 
 車で10分程度でまつさん邸に到着し、、、さぁ〜て、ブログで何回も見ている有名なオーディオ・ルームに通されました。
中に入って、まっ先に見たのが「STS Limited」と名付けられた黒い「石造り」の無共振SPシステムです。
ユニットは全てThiel & Partner社製Accutonブランドのユニット、セラミック製ダイアフラムを採用した高価なユニットで知られていますが、特に興味深いのが「ダイヤモンド製」のダイアフラムを持つという高域用ユニットです。

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STS Limited
 無共振エンクロージャーを製作しようとする場合、通常は分厚い「アピトン合板」や「バーチ材」が思いつきますが、STS Limitedの材料は「石材」です。
石材の加工は、引き受けてくれる加工業者が少ないこと、そして難しいのは「接着が困難」「タップが立たない」「欠損しやすい」という点です。しかし「STS Limited」は設計的にこれらの困難を克服し「バスレフ型(背面に排圧抜き用の小ポート)」の強固なエンクロージャーとしています。

  

 まつさんの音源からいくつか聴かせて頂いて、「STS Limited」の印象は「エンクロージャーの振動による雑音が皆無」であること、「ダイアフラムのみから音が出ている」という点でした。
 
 次に私の音源の中から、いつも自分で使っている低域試聴用の「WOOD/Brian Bromberg: The Saga Of Harrison Crabfeathers(96 kHz/24bit)」です。 この曲は、10年間かけてチューニングした我が家のレイオーディオRM-6Vでも、満足できるレベルには達しませんでした。
 
STS Limited」の低域は、TRINNOVを使って調整を加えてあるとしても、極めてソリッドな音がAccuton製25cmウーファーのダイアフラムだけから聴こえて来るのが印象的でした。 25cmウーファーでこのレベルの音が出るなら、もう38cmダブルウーファーなど無用の長物、、、少し前までまつさんも私も、長年、38cmダブルウーファーを使っていましたので、まさに隔世の感があります。
 
 及ばずながら拙宅のSPシステムも「無共振エンクロージャー」を狙って 42ミリ厚のバーチ合板を使い十分な補強材を入れて製作したのですが、それでも微振動は感じられるし、山本音響のウッドホーンからも「鳴き」は聴こえています。
 
やはり加工上の困難を設計的に克服しながら、あえて「石材」で製作したメリットは絶大、ということが一聴して分かる音でした。
 
 いくつか試聴用の音源を聴かせて頂きながら、オーディオルームの中を見回してみると、いわゆる「音響ボード」や「反射板」などは一切なく、まつさんの説明によると「大建工業」の材料を使って建設した、とのことでした。 3階建のこの建物は「現場流し込み鉄筋コンクリート製」とのことで、16畳ほどの広さの部屋の壁が強固なのも、この鉄筋コンクリート製の躯体がしっかりしているからだろうと推察できます。

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 左右SPシステムの中央にはオーディオラックがあり、まつさんが以前JBL 4350をお使いだった頃は、中央のラックにはオーディオショップの様にAccuphaseのアンプ群が満載でしたが、現在では多少シンプルになった様です。
アナログLP用の機器もありますが、特に右側にあるLumin U1-MiniプレーヤーとDELA のN1A改(NAS)、そしてその下にあるTRINNOV ST2 HiFiが今回の注目アイテムです。

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  同じくネットワーク・オーディオを構築している私は今回、まつさんから、TRINNOVは音響的な補正だけの機能に絞り、音量調整はLumin U1-Miniという製品名のネットワーク・トランスポートの電子ボリュームで行なっていること、チャンネル・デバイダー機能はAccuphase DF-65に任せている、という使いこなしを教えて頂けて、これで私のプランも大きく前進できそうです。
 
 デジタル・オーディオの「メッカ」は、年に一回は必ず巡礼に訪れたくなる様な、極めて魅力的な場所でした。
 
京都のまつさんには、午前中から夜まで、私の「巡礼」のために貴重な時間を使って頂き、ここに厚く御礼申し上げます。