MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

SACDからデジタル音声信号を取り出す(5)

 

 
 今年の初め、SACDからダイレクトにデジタル信号を取り出し、それをDEQXに接続することによって、デジタル信号のままDEQXのグライコで処理し、デジタル・チャンデバで周波数帯域を分割した後、ここで初めてD/A変換してパワー・アンプに信号を送り込む、この手法でSACDの本来の音を再生できる事を確認しました。 私はいつも完成してしまうと、もう次の事にモチベーションが移ってしまい、以前のテーマはそのまま置き去り、というパターンが多いのですが、この「SACDのデジタル・リッピング作戦」も半年程そのままになっていました。

 
 
 そこで夏休み、今までDVD-Audio盤でも発売されていないことが欲求不満の原因となっていた Miles Davis の一連の名作アルバム「Round About Midnight」、「Milestone」、「Kind of Blue」の3枚のSACD盤を入手し、これをデジタル・リッピングして真剣に聴いてみることにしました。

イメージ 1

 
 モニターの画面を見ながらPS3の設定を「88.2kHz/24 bit」に設定し(本来なら176.4kHz/24 bit に設定できるのですが、我家のDEQXは上限96kHzどまりなので、残念!)、最初に「Milestone」を選びました。

 

 このアルバムは、1950年代のハード・バップからモードへと大きく舵を切った「Kind of Blue」の一作前の作品、モードへの予兆を明確に示すアルバムと言われていますが、私がいつも好んで聴くのはタイトル曲の次、マイルス抜きのピアノ・トリオ、R・ガーラント、P・チェンバース、P・J・ジョーンズが奏でる「Billy Boy」。アナログLPでもCDでも、この曲はオフ・マイクな録音だと思っていたのですが、このSACDでは結構「オン」です。右から聴こえるP・J・ジョーンズのブラッシングがかなり大きく、ピアノがクリップするのではと思わせる程強打しているR・ガーラントのピアノが左側からリアルに再生されるのが分かります。この辺り、DVD-Audio盤と甲乙付け難いクォリティです。

 

 次のアルバム「Kind of Blue」、中学生の頃から今まで数え切れない程聴いて来た「So What」 のイントロ、、、ポール・チェンバースのベースとビル・エバンスの控えめでクリアーなリフが始まった瞬間、DVD-Audio盤やHi-Res音楽ファイルで感じられるような、録音現場にワープして行くような圧倒的な臨場感と空気感。 このリフの後、マイルス、J・コルトレーンキャノンボール・アダレイと続くホーン群の輝きも驚く程のリアルさ、マウスピースに息を吹き込む直前の呼吸音が聴こえるようなリアリティが、レイオーディオのウッド・ホーンから再生されます。 こんなにスゴイ「So What」、、、アナログLPの時代も含めて、今回初めて聴く事ができたのです。

 

 50年以上も前の古いマスター・テープには、これだけの情報が入っていたんです、、、驚きました。しかし、テープ・ヒスが全く聴こえて来ないのはなぜでしょう、フィルターをかけているのでしょうか。  オリジナル・マスターのテープ・ヒスの中にも録音当時の「その場の空気感」が少しでも入っているなら、そのまま残しておいて欲しいものです。