MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

レコード・ジャケット Reid Miles



 自分にとっては、30cmLPのジャケットは中身のディスクと同じくらい、あるいはそれ以上の価値のある場合がありました。 

音楽そのものが気に入らなくても、ジャケットだけが気に入って購入したものも数多くありました。壁にディスプレイして飾っておくために、今からでも購入したいものがまだ沢山あります。

 中身が気に入らないけれどジャケットだけが好きだったアイテムの筆頭は「On the Corner」でしょう。 

まだ30cmLPを欲しい時に好きなだけ購入するような予算がなかった頃に、Miles Davisの新作ということでレコード店に予約まで入れて購入した「On the Corner」、、、一枚全部聴き終わる前に、その音楽性に呆れかえってしまったことを覚えています。 なぜ評論家諸氏が誉めるのか、、、。こんなことを言っているのは私だけかも知れませんが、、、。

 

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 これとは逆に、ジャケットのデザインは月並み、、、何の変哲もないジャケット(文字通りのレコードのカバー)は大多数がこれに当てはまります。 

ジャズでもクラシックでも、レコードのジャケットといえば演奏中のプレーヤーの姿をそのまま写真にしたもの、あるいはヨーロッパの田園風景などが通例だと思います。

 その昔「Reid Miles」というアメリカ人のグラフィック・デザイナーがいました。 彼がデザインした多くのアルバムは、それまでのレコード・ジャケットのデザインの概念を一変させるものでした。  
 
 Reid Miles のジャケット・デザインは、著名なジャズ・ミュージシャンの写真でさえも「上下をカット」してしまう程のアグレッシブなもの。 しかし、レコードが発売されると、ディスクの中の音楽性の高さも合わせて、大ヒットとなりました。 

リー・モーガンのサイドワインダーなどはその代表的なもの、彼の顔とトランペットが下半分くらいしか残っていないほど大胆にカットされ、大きなレタリングが貼り付けられた、典型的な Blue Note のデザイン、目に焼き付いている人も多いと思います。

 

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他にも、Sonny Clark の代表作Cool Struttin'、下の写真「ハイヒールの足だけ」のレコードジャケットなど、ジャズにはあまり興味がない人でも、きっと一度は目にしたことのある、時代を反映した素晴らしいデザインでした。

 

当時、まだ無名のレコーディング・エンジニアだったルディ・ヴァンゲルダーがBlue Note で仕事を始めたのもこの頃です。 ジャケットのデザインが素晴らしく、中身の「Hard bop」も素晴らしい、というのが中期の Blue Note のアルバムです。

 

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追記:
 当時、新品の Blue Note のLPを購入して、封を空けた瞬間、独特の良い香りがしました。「輸入盤」でも Blue Note が特にその匂いがしたと記憶しています。
 高校生の頃、帰り道にお茶の水ディスクユニオンに立ち寄り、なけなしの小遣いをはたいて Blue Note のアルバムを1枚ずつ(数ヶ月に1枚)購入し、大事に抱えてワクワクしながら家に持ち帰りました。 

レコードプレヤーの前で、買って来たばかりの Blue Note のレコードの封を開けると、プーンと独特の香りがするのがとても嬉しかったのを覚えています。 あれは結局、何の匂いだったのか、、、レコードに残った剥離剤か、ジャケットのボール紙の匂いか、それとも印刷の匂いだったのでしょうか。