「Blue Train」は1957年、ブルーノート・レコードから発売されたジョン・コルトレーンの初期の代表作、いつ聴いてもコルトレーンの音楽を存分に楽しめる、私にとってベスト・アルバムです。
第一曲目のテーマ曲「Blue Train」から最終曲の「Lazy Bird」まで、どれも典型的なハードバップ、聴いているだけで元気が出て来ます。
そして「Soul Trane」は1958年に発表されました。これも私のベスト・アルバムの一枚です。
ジョン・コルトレーンは長い間、全く無名のサックス奏者でした。
1955年(29歳の時)にマイルス・デイヴィスに見出されて彼のバンドに抜擢されてから41歳で夭折してしまうまでのわずか10年余り、この10年間に彼はジャズ界を牽引し、ジャズの歴史における巨人の一人となったサックス奏者です。
マイルス・デイヴィスの名作『カインド・オブ・ブルー』のメンバーとしてレコーディングに呼ばれたのが1959年、そして彼の中期の代表作『ジャイアント・ステップス』もこの年にレコーディングしています。
前期から中期、私はこれが「ベストのコルトレーン」だと信じて50年間も聴いています。「それは違うよ、コルトレーンのベストは後期だよ」という意見も十分尊重しますが、私にとって聴いていて楽しいのは、やはり前期から中期のコルトレーンです。
翌年の1960年にはマイルス・デイヴィスのバンドから脱退し、マッコイ・タイナーやエルビン・ジョーンズと共に自分自身のレギュラー・バンドを結成してステージ・ツアーを始め、ステージでの演奏はだんだんと激しさを増して前衛的になっていきました。
一方では、とてもリラックスしたアルバムをいくつか発表しています。
例えば1962年の「デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン」、そしてスローバラードを取り上げた「バラード」、1963年に発表したジャズ・ボーカルがメインの「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」など、これらスタジオ録音のアルバムは、あの前衛的な激しいステージからは想像もできない、とてもリラックスした雰囲気のアルバムで、それ程ジャズに詳しくない人、ジャズをBGMに流したい人にも勧められる作品群です。
素晴らしいバラードも演奏できるのに、なぜ前衛的な演奏へ傾倒して行ったのか、凡人のジャズ・ファンには理解できないところです。
そして1964年末、かの有名なアルバム「至上の愛」を発表しました。
スイング・ジャーナル誌がゴールド・ディスクに選定したので、高校生だった私は創業したばかりの御茶ノ水のディスク・ユニオンに嬉々としてLPを買いに行きました。 家に持って帰って来て、レコード・プレーヤーに針を下ろし、片面を聴いただけでガッカリ、、、ジャズ評論家諸氏がこぞって絶賛していたのに「なぜこれがゴールド・ディスクなんだろう、、、」当時の私には理解できませんでした。
そして1967年7月17日、肝臓癌で亡くなりました。享年41歳でした。
先日「至上の愛」のSACDを購入して何十年ぶりで聴いてみましたが、やはり印象は同じ、、、また無駄なお金を払ってしまいました。
きっと私がコルトレーンの「至上の愛」を愛聴盤として楽しめる様な「大人のジャズファン」に成長した時には、TD-4001 ドライバーもコルトレーンのゴールド・ディスク「至上の愛」を素晴らしい音で聴かせてくれることと思います。