高校生の頃、吉祥寺の実家から歩いて10分足らずのところに「FUNKY」 というジャズ喫茶があって、そこは地階がJBLパラゴン、1階がJBL D130+LE85、2階がA7-500という、当時の自分にとっては「夢の空間」だったので、週に何回もコーヒーを飲みに行っていました。
コーヒーを注文すると、JazzのLPを1枚リクエストできたので、SJ誌上で見て覚えたレコードを恐る恐るリクエストしていました。(今考えれば、超入門アイテムばかりでした)
そんなJazz初心者、オーディオ初心者にも楽しめる、頻繁にリクエストがかかり1階フロアーのJBL D130+LE85から飛び出してくる「Opus de Jazz/Milt Jackson」のヴィブラフォンの音は、私の耳にとても心地よく響きました。
このアルバムは1955年の録音なので、広い音域とかダイナミック・レンジなどは望むべくもありませんが、Milt Jackson が強打するヴァイブの高音が部屋のフラッターエコーで歪まないか、Frank Wess のフルートがリアルに聴こえるか等、オーディオの試聴用にも楽しく使って来ました。
基本的にヴィブラフォンという楽器は「3オクターブ」の音域しか出ないので、それ程広帯域なスピーカーでなくとも良いのですが、単なる打楽器というよりもピアノと同様に、瞬間的な打撃音のあとに連続音がフェードアウトしていく楽器なので、どうしても立ち上がりの良いホーンスピーカーが欲しくなります。
だから我家のSPシステムは、以前から JBLのホーン・ドライバー を使った2way、そして現在でもTAD製の2wayです。
そんな経緯でSPシステムの選択にも影響して来た愛聴アルバム「Opus de Jazz/Milt Jackson」も、CDになってからも2回買い替えて、いろいろな試聴に使って来ました。
PCオーディオ/ネット・オーディオに移行してから、Jazzの名盤や愛聴盤は、DVD-Audio盤やSACDをデジタル・リッピングしたり、HDTracksなどのハイレゾ・サイトからダウンロードしたりして、ハイレゾの音楽データもかなりのアイテムが揃って来ました。
しかし、どうしてもハイレゾの「Opus de Jazz」は手に入りませんでした。米国アマゾンやeBayなど、どこを探しても品物がないのです。
いくら Milt Jackson の代表作だといっても、マイナーな古いアルバムをSACDにして発売するような物好きなレコード会社はないだろう、DVD-Audio盤でも入手できなかったし、、、「Opus de Jazz」はCDどまり、、、と完全に諦めていました。
しかし、ついに、見つけました! 「e-onkyo music」です。
あそこは「国内ミュージシャンがメインのサイト」と考えていたので、今までほとんど訪れたことがなかったサイトですが、大きな誤解でした。
一日中大雪で外に出られなかった日に、たまには覗いてみようとクリックしたら、、、「お待ちしておりました!」とばかりに「New Releases Item」として「Opus de Jazz」のジャケットが掲載されていました。 一瞬、我が目を疑いましたが、CDでもMP3でもない、紛れもなく「96kHz/24 bit」FLACの音楽データです。 売り切れになったら困る、、、と価格など一切確認もせず、ただ急いでクリックしました。
ダウンロードが終わって NAS に転送し、「さあ、いよいよ、、、」と iPad の上をタップすると、、、おぉっ、ついに音が出ました!
Frank Wess の甲高いフルートの音から始まる第1曲目「OPUS DE FUNK」が我家のレイオーディオのウッドホーンから飛び出して来ました、、、これはスゴイです!、素晴らしい! いままでの民生用メディアの制約(LPレコードの音溝の制約、CDの容量の制約)など全くない、マスター・テープに限りなく近い音を、ついに聴く事ができるようになったのです。
58年前の NY の録音スタジオの空気感と臨場感、、、当時はまだ新米の録音エンジニアだったRVゲルダーがレコーディングしたこの古いマスター・テープには、これだけの音が入っていたんですね。 素晴らしいです!