MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

次期ホーンドライバー用のFETアンプ(4)

 
 
 Myu氏から親身なアドバイスをもらいながら、勘違いと失敗を乗り越え、やっと完成して音出しまで漕ぎ着けました。
 
 すぐに接続して試聴を始めたいところですが、今まで使っていた「#143 UHC MosFET アンプ」との比較試聴を楽しむため、接続替えを手早く行ないたいため、新旧2種のアンプのゲインを揃え、接続替えのたびにレベル調整をしなくても済むように準備しました。 「以前のアンプよりも良い音で鳴るはず、、、(良い音で鳴って欲しい)」という自画自賛の気持ちが出てしまうので、一人だけで比較試聴をするには冷却期間を置いてからの試聴の方が良いはずです。
 
 さて、準備ができて試聴の第一番目、最近特に聴く機会の多い「Mozart Chamber Music for Winds and Springs (192kHz/24bit)」を聴いてみます。 
弦楽器にオーボエクラリネットを加えた4~6人編成でMozartを奏でるこのアルバムは、日頃Jazz ばかり聴いている私が近頃、好んで選ぶクラシックのアルバムです。
 
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 今回は「金田式DCアンプ同士」の比較なので、それ程大きな差異があるとは考えていませんでした。しかし、以前の金田式DCアンプは「#143 UHC Mos FET (1996年発表)」、今回のアンプは「#228 SiC Mos FET (2013年発表)」で、この17年の間に金田式DCアンプが確実に進化していたことを証明する音が聴けました。 オーディオ・ショップの一般試聴会の様に、AのアンプからBのアンプへの切り替えて瞬間に違いが分かるという程の大きな差異ではありません、自分のオーディオルームで日頃から聴き慣れている音楽ソースを聴いて初めて「なるほど、、、」と納得するレベルの差異です。
 
 以前の「#143 UHC Mos FET」と比べると、今回の「#228 SiC Mos FET」はフォーカスがさらにハッキリし、音像の奥行感がかなり深いことが分かります。
そして金田式DCアンプ・マニアが最も好む「透き通った柔らかな中高域」はさらに透明度を増し、クラシックを聴くなら「これがベスト・アンプ」と思えてきます。 特に今回の試聴に使った様な室内楽では、最後の音がフェードアウトし静寂の中に消えて行くプロセスが実に素晴らしい、、、。
 
 クラシックを聴くと良いインプレッションですが、それならジャズはどうか。 残念ながらジャズの場合は必ずしも良いことばかりではありませんでした。 SACDハイレゾ等の新しい録音の音楽データの場合、シンバルが空中で揺れている様子までハッキリ分かる程のリアル感がありますが、60年代のハードバップのアルバムでは、「少々透明感があり過ぎ」の感が否めません。私の好きなこのアルバム「Cool Struttin'」はこの年代としては珍しい「192kHz/24bit)」の音源なのですが、正確なリズムを刻むフィリー・ジョーのシンバルレガートが妙にキレイなのが気になり、ハード・バップのシンバルはもっと、、、と少し不平不満が出そうになります。 以前、ジャズ評論家の寺島靖国氏が「ジャズのシンバルはキレイでか細いのはダメなんだ」と言っていたのを思い出しました。
 
 まだDEQXのグラフィック・イコライザーの微調整を行なってないので、今後の調整によって自分のイメージ通りのBlue Noteサウンドを取り戻す楽しみが残っている、、、ということにします。
 
 
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 今回の「#228 SiC Mos FET」の素晴らしい音質が新しい回路によるものなのか、それともSiC Mos FETデバイスそのものによるものなのかは分かりませんが、15年以上使って来たUHC MosFETアンプから今回の#228 SiC Mos FETアンプへの着実な進化だと思います。
 
 金田氏のオリジナル設計ではバッテリー電源ですが、今回はバッテリードライブは採用せず、Myu氏が設計してくれた豪勢な「チョーク・インプット電源」を使っていますので、これも好結果に大きく貢献していると思います。
 いろいろ調べてみたら「チョーク・インプット電源」は、理想的な電源とのこと。私の好きなビンテージMark Levinsonのアンプ群はトム・コランジェロ氏の設計ですが、彼が設計したその後のCello社やVIOLA社のアンプ群にも必ずチョーク・インプット電源が採用されているのが分かりました。 そして一時は本気で買おうとしていたJeff Rowland社のModel 9 もチョーク・インプット電源だと知って、なるほどな、、、と納得しています。
 
 40年以上前、初めて製作した金田式DCアンプ(AB級120W)は全体の6割以上を「高速安定化電源」が占めるという代物でしたが、長年の大胆な進化を遂げて現在では極めてシンプルになり、着実に音質も向上して来ました。 金田式DCアンプが今後、どの様に進化して行くのか、とても楽しみです。