MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

次期プロジェクト「KM1Vの自作」その3

 

 
 以前進めていた「自作 KM-1V」プロジェクトは、資料を集めて図面まで描きましたが、途中で保留にしてから既に8年も経過してしまいました。 当時は仕事が忙しくて全く時間がなかったのですが、昨年引退して十分な時間ができたので、いよいよ再スタート、楽しみながらやっていこうと思います。
 
 当初はレイオーディオのオリジナル「KM-1V」をそのままの寸法で寸分違わず再現する予定でした。しかしオリジナルをそのままの寸法で製作しても、オリジナルと同等、もしくはそれ以下のものしかできません。 
 
 KM-1Vのカタログによると、「サイド・ポーテッド・ダブルウェッジズ」と称するクサビ形状に設計してあるのは、ラージモニターRMシリーズの直前に設置しても、その音場を乱さないことが目的とのことで、この魅力的な外観は、見ているだけで買いたくなってきます。
 しかし左右のバスレフポートを持ってしても、この小型のエンクロージャーから豊かな低域を再生するのは難しい様です。
 
 それなら、トゥイーターと2個のウーファー・ユニットは同じものを使い、エンクロージャーもほぼ同一の寸法に製作し、バスレフ・ダクトだけ大きなものを取り付けたらどうか、、、というアイデアが湧いて来ます。
 
イメージ 2
 
 一般論として、バスレフを十分効かせるにはポートの開口面積を大きくすれば良いのですが、それに伴ってダクトの全長を長くする必要があります。
オリジナルのKM-1Vの奥行きが400ミリ以上もあるのは、内容積の確保と長いダクト長を内蔵するためですが、ポート開口面積を現状より大きくしようとすれば、横幅が大きくなり、奥行きはさらに長くする必要があります。
 よって、現在のクサビ形状のエンクロージャーでは現在の寸法がベスト、もし低域をもっと補強しようとするなら、ダクトはエンクロージャーの外部に取り付ける必要があります。
 
 現在のウーファー・ユニットを使ってどこまで低域を延ばすことができるか、まずはプロトタイプで試作テストをしながら可能性を追求していく事にします。
 
 所沢にレイオーディオがあった頃に、木下さんからもらった資料の中に、KM-1Vの周波数とインピーダンス特性が掲載されたものがあります。
 
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 このインピーダンス特性を見ると、バスレフポートのチューニングが「50Hz近辺」であること、そして比較的広い周波数帯域に効かせていることが読み取れます。しかし前述の様にバスレフポートの開口面積と内容積が必ずしも十分でないためか、上の周波数特性図によると100Hz辺りから50Hzにかけて5dB程下がってしまっています。(このF特がKM-1Vの特徴的な音質であることも事実です)
 
 10月まで我が家で愛用していたRM-6Vの様に、30Hz以下までフラットに再生しようするのは無理としても、何とか「50Hz近辺」までフラットに出そうとすると、十分な開口面積と全長を確保した長大なダクトが必要になります。
そこで、エンクロージャーの外部に長大なバスレフ・ダクトを取り付ける設計としてはどうか、、、。
 
 KM-1Vの様な小型SPシステムは、直接床に置かず、必ずSPスタンド(台)に置くため、レイオーディオでも専用のアピトン合板製のSPスタンドが用意されています。
 
イメージ 3
 
 上の写真の様に、この図太い「脚」の部分はオリジナルでは無垢のアピトン合板製ですが、今回これを空洞構造に設計して、この部分をバスレフ・ダクトとして利用することにします。(このアイデアは、故長岡鉄男氏が以前雑誌に発表していた記事を参考にしています)
 
プロトタイプの設計コンセプトとしては;
 
(1)第1号機プロトタイプは「直方体」で試作してみる
(2)ダクトは内蔵せず、外部に取り付ける(スタンドの脚部を利用する)
(3)ダクト長は調整可能な設計とし、データを取りながら最適なダクト長を決める
(4)最終的なデータを取得したあと、「クサビ型」の本体を設計し製作する
 
 KM-1Vの底面から中央のドーム・トゥイーターまでの高さが210mm、ソファに座ったリスナーの耳の高さを床から800mmと仮定すると、このSPスタンド兼バスレフダクトの高さ(長さ)は600mm少々という設計になります。
 
  KM-1V本体の内容積を「16リッター」、130mmウーファー2個分の振動面積の合計を「190 cm2」、ダクト全長を「600 mm」、ダクトの共振周波数を「50 Hz」として計算すると、ダクトの開口面積は「62.4 cm2」となります。 これは130mmウーファー2個分の合計振動面積の33%に相当し、RM-6Vの設計値「29%」よりもさらに大きな値、、、十分な音圧が期待できます。 
 
 プロトタイプが完成したら、まずF特を測定し、もし低域のレベルが高すぎる場合には、ダクトの断面積を減らしてチューニングを低い周波数へ移動させて調整することが可能な設計としておきます。