MilesTAD’s Blog

自分の一生涯の趣味として続けているオーディオのブログです。

次期プロジェクト「KM1Vの自作」その2

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 Rey Audio 木下さんのお宅がまだ所沢にあった頃、いろいろな資料を頂きました。上記のスペックシートは、その資料からの抜粋です。(現状の市販モデルは、130ミリウーファーのコーン紙にコーティングが施されていますので、この資料にある特性とは若干の差異があると思われます。)

 所沢の木下さんのオーディオ・ルーム兼書斎には、RM-7Vとその前に「赤緑色のKM1V」が設置されていました。「もっと音量を上げても良いですよ」と言われて、当時まだ試作品段階だったMSP-1プリのVRを少しずつ上げて行きましたが、外形寸法から想像するより遥かにスケールの大きいキレの良い低域に感心しました。「いずれは自分もRMシリーズのラージ・モニターを買うつもりです」と言ったら、眼前に炸裂するRM-7Vのサウンドをフルパワーで聴かせて下さいました。そして、「なぜ、この位置にダクトをレイアウトしているのか」とか、「いかにダクトから低域のみを出す様に設計するか」という様な話をして下さり、オーディオ・テクノロジーの、何か非常に深い部分を勉強できた気がしました。
 それ以来、まずはKM1Vを自作して、できることならRM-6Vも自作、、、と計画を練っていたのですが、RM-6Vの重量からして自作は無理だ、ということを悟り、結局、Rey Audio 純正のRM-6Vを購入してしまいました。

 この周波数特性図を見てみると、若干右肩上がりであることが分かります。この傾向は、いわゆる「モニター系」そして「打ち込み系のサウンド」に好適なシステムなので、私は主にJAZZを楽しむので問題ありませんが、クラシックを聴く(楽しむ)ためには、もっとフラットな特性の方が望ましいと思います。これは、中高域を受け持つソフト・ドームのトゥイーターの特性がそのまま現れています。このトゥイーターは、フルパワーをかけてボイスコイルを吹き飛ばしてしまった場合でも、ボイスコイル+ダイアフラムを自分で簡単にアッセンブリー交換できるという「優れ物」です。スクリューを3本外せば、フロントのプレートと一緒にダイアフラム・アッセインブリーが簡単に外せるのです。ダイアフラムの直径が「34ミリ」と大きく、1kHz以下からもレスポンスを持っているので、KM1Vでは約1.5k Hzのクロス・オーバーが実現できている様です。(1.5k Hzのクロス・オーバーというと、往年の JBL HarknessやLancer 101 のクロスオーバーに近く、興味をそそられます。)

 次に、インピーダンス特性図を見てみると、アドミッタンス・カーブの2カ所のディップのちょうど中間の位置、すなわち50Hz辺りがダクト・チューニングの設計値の様です。この2カ所のディップが通常のバスレフよりも広い周波数に分布している点、ここからは、ダクトをより広範囲に動作させようとしている設計の意図が読み取れます。木下さんが「サイド・ポーテッド」と名付けている開口面積の大きいバスレフ・ダクトがこれに寄与しているものと思われます。しかし、その割には周波数特性が100Hz以下は左肩下がりの特性となってしまっていますが、これは130ミリ口径のダブル・ウーファーに対してエンクロージャーの内容積が少々足りないのかも知れません。「ラージ・モニターの前に設置する関係上、その音場を乱さない様な形状に設計する必要があった」という木下さんの開発当初のコメントにもある通り、この最小面積、最小容積がKM1Vの特徴となっていて、しかし内容積不足を、この「サイド・ポーテッド・ダクト」で低域を持ち上げ、このキレのある素晴らしい低域チューニングに仕上げているのは、Rey Audio の面目躍如といったところです。 この良質なユニットを使って、エンクロージャーの容積をKM1Vより一回り多少大きくした「KM2V」という様なシステムを発売したら、きっと新たなRey Audio のファンが増えるのではないかと思います。

 必要最小限の面積が創り出すKM1Vの「臨場感」と「奥行き感」は、音量レベルを別にすればRM-6Vを凌ぐものがあり、思わず純正品KM1Vに手を出してしまいそうですが、自作マニアとしては、ここでモチベーションを高めて頑張ってみようと思っています。